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2005/07/05

取り逃がした未来

坂村先生とゼロックスPARCというのはある意味切っても切れない関係があるような。

いわく、日本に初めてALTOを紹介した男。
いわく、マーク・ワイザーのユビキタスコンピューティングを広める男(笑)。

BTRONだって、ALTOそしてSTARワークステーションの多大な影響下にあるのは間違いないんで、やっぱり切っても切れない感じ。

という訳で、こんな本を読んだ。

取り逃がした未来―世界初のパソコン発明をふいにしたゼロックスの物語
ダグラス・K.スミス (著), ロバート・C.アレキサンダー (著), 山崎 賢治


内容そのものは

イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき
Harvard business school press
クレイトン・クリステンセン (著), 玉田 俊平太, 伊豆原 弓

の副読本にピッタリのビジネス本である。

ビジネス本なので、話が経済だの会社経営だののあたりは気にならずに面白く読めるんだけど、一旦「昔の技術の話」になると訳した?用語の変さが気になって気になって仕方がない。

「真空管」がバキュームチューブだとか「解析機関」が分析エンジンだとか、V.ブッシュのAs We May Thinkが「未来を想う」だったりと激しく読む気と翻訳への信頼感が萎える用語が連発されるのが困りもの。

訳者はMBA取得者でMOT(死語)がどうこうなどとのたまいたいのだそうですが、もっと編集者と相談して翻訳のチェックをするべきだったんじゃないかと。

なお、この手のPARC関連の類書に

未来をつくった人々―ゼロックス・パロアルト研究所とコンピュータエイジの黎明
マイケル ヒルツィック (著), Michael Hiltzik (原著), 鴨澤 眞夫 (翻訳), エビスコム・テック・ラボ (翻訳)

がありまして、こちらはよりALTO開発のあたりを中心にした本であり、その周辺のゼロックス内政治状況などを「取り逃がした未来」を読んで補完するって感じでしょうか。

個人的に印象に残ったのは、現役のタイピストや秘書経験者がALTOを絶賛したけど、事務仕事をしない重役がALTOの価値がわからなかった、というかわかろうとしなかったってあたりですかね。自分の欲しくないもの作っても駄目ってことかな。

それ以上のことは、「イノベーションのジレンマ」のいうとおりってことで。

ALTOの競合プロダクトが機械式タイプライターってあたりに時代を感じますな。

まあ、ベトナム戦争で居心地の悪くなったARPAやMITから西海岸へやってきた人の梁山泊ですからね>PARC。
パロアルト研究所から、インターネットにつながっていく技術が生み出されたのは、どう考えても必然ですね。

さて、パーソナル・コンピューティングという概念を作り出したPARCが、ユビキタス・コンピューティングという、より分散型のパーソナル・コンピューティングである概念を導き出したのはある種の必然であるが、80年代や90年代初頭ではまだ早すぎたのであろう。

しかし「今なら大丈夫」だとPARC初代所長のジョージ・ペイクならずとも誰もが言うだろう。

そんなことでひとつ。

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