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2005/07/19

ユーティリティー・マルティクス

個人情報保護法とニコラス・カーのIT Doesn't Matterの影響か何だかでユーティリティー・コンピューティングが復活と言うか再び注目を集めている。
ユーティリティと言っても、成田美名子の「みき&ユーティ」シリーズのことではない(<古)。

復活?90年代のThin Clientの流行のこと?

いや、もっとずっと昔の話。

スローン・テクノロジーシリーズの抄訳本「コンピュータ200年史」によると、計算機資源を電気や水道のような公共事業(ユーティリティ)のように供給する概念が最初に出てきたのは、今から40年程前、1964年のMITであるとしている。

1964年のMITと言えば、MACプロジェクト。MACプロジェクトと言えば、そうMulticsである。例のUNIXの先祖として知られるアレだ。

http://www.multicians.org/history.html

ちなみにIBMシステム360も1964年発表である。

つまり、大雑把に言って、ユーティリティ・コンピュータはMulticsのことだ(大雑把すぎ)。昔、電電公社でも似たようなことしてたよなー。

まあ、実際は有象無象が30社以上も入り込んで一大ブームを作ったらしいが、それはさておく(<オイ)。

1965年から、計算機資源の供給サービスが開始され、1968年あたりで最高潮に達したらしい。

そして、GEがMulticsから手を引くと一気にユーティリティ・コンピュータは「無かったこと」になってしまったようだ。
Multics自体は20世紀が終わるまでは稼動していたらしい。

ちなみに、GEのテレタイプ端末だけでも68年には5万台以上の端末が学校などに供給されたようだ。


このTSS端末を使ってコンピュータを学んだのがビル・ゲイツをはじめとする人たちであった。
つまり、そのくらい昔の話なのである。


タイム・シェアリング・システムの負荷分散をどう処理するかという問題は、サービス開始直後の65年には既にある程度まとまった形で提起されていたらしい。


いわく

・サーバというかホストがコケると皆コケる。

・サーバが混むと動作がのろくてウザイ。

・サーバ能力とネットワークの帯域が足りないと端末の表示がショボくなる。

現在のインターネットが抱える問題と大して変わらない。

これを解決するにはクライアントをリッチにする。
あるいは、ネットワークから端末を独立させてしまう。

後者が8ビットパソコンの流れになったのだろう。


サーバーを強化して、ネットワークを強力にするのが、C/Sなサーバー方面の発想になるだろう。
この辺が現在のシン・クライアントか。


もっとアレならクライアント同士を直接繋げてしまえってのがP2Pとかグリッドコンピューティングになるんだろう。

グリッドもユーティリティーも電力供給業界から出てきた用語である、ということで資源供給のための形成ということでは供給負荷分散する概念としては同じだ。

そんな訳で、トマス・ヒューズの「電力の歴史」が読んでも読んでも終わらないのをどうにかしたい今日この頃です。

コンピュータ、電気無ければただの箱であり、コンピュータ、ソフト無ければタダの箱である。

どちらも適切な供給が必要だ。


TSSでなく、リアルタイムなネットワークを志向するTRON流ユビキタスネットワークの明日は、燃料電池=P2Pなのか、グリッドネットワークの形成なのか?どっちですかね。両方かな。

個人的には、P2Pの要素と言うか風味が強いような気はするんですが……。日本だとWinnyのこともあるしなあ。


どちらにせよ、コンピュータ業界からエンロンだの粉飾決算だの大規模停電の原因だのが出てこないことを祈ることにしよう。
エンロンのCIロゴのデザインが、ポール・ランドだったことを少し前に知って、少し悲しい気分になった。


それではまた。

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