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2005/05/23

ユビキタス、TRONに出会う:ブックレビュー

ユビキタス、TRONに出会う 「どこでもコンピュータ」の時代へ/坂村 健

内容的には去年NHK教育でやってた人間大学と大差なかったように思ったので、購入はスルーしてました。
最近、読む機会があったのでここはひとつブックレビューをしないといけないかなということで。

まあ、ユビキタス社会ってこうなるよね、という概論を手馴れた感じで紹介。

相変わらずの坂村節でサクサクとわかりやすい。ユビキタスはパーベイシブやインビジブルやカームに比べてまだ発音しやすいとのことだけど。そうなんですか?

今回は、無線について踏み込んだ内容になっている。アンテナまで立てたほどのアマチュア無線少年振りが微笑ましいが、その筋金入りの秋葉原無線マニア魂全開の経歴がRFID無線関連技術(特にアナログ特性面)に関する確かなバックボーンとなっているのが分かる。

あと、マルチタスクの構造についても、リアルタイム・マルチタスクとタイムシェアリング・マルチタスクの違いについても図入りで念入りに説明。

確かに、この違いというのはパソコンやワークステーションOSメーカーが実装したくても、アーキテクチャを根本的に変更しないと実装出来ないからなかなか表に出さないし出せないんで、パソコンに詳しい人でも意外と意識したことがないかもしれない部分である。

もっとも「表面的な」リアルタイム性能自体は、最近はハードの性能がカバーしている場合が多いので、シビアな通信じゃないユーザーインターフェイスの部分程度であれば問題にならないことが多いけど。

いちばん笑ったのが、モジュラー化というかモジュール化について言及してるあたりでしょうかね。

第3章 ユビキタス社会に向けて 2「ベストエフォート」を許容せよ
不完全な製品が巨大市場。これこそ革命である

多分、この本を翻訳した周辺の人の話だと思いますが(笑)。

デザイン・ルール モジュール化パワー/カーリス・Y・ボールドウィン+キム・B・クラーク/安藤晴彦訳/東洋経済新報社

コンピュータというアーティファクト(人工物)の複雑さを利用、制御するためのモジュール化する際のデザイン・ルール(設計方針)について色々と解説してますが、その題材に選んだのが「よりにもよって」IBMシステム360
直球で今更なんで????って思いました。XBOX360じゃないよ。

80年代のサン・マイクロシステムズから遡った結果、フォン・ノイマンのコンピュータに関する定義(ノイマン・アーキテクチャ)に行き付き、IBMシステム360ファミリーとそのコンパチブル・マシンに辿りついたということであったんだそうです。

ハーバート・サイモン「デザインの科学(PMC)」あたりが大きな下敷きにあり、ジョン・ホランドの複雑適応系の話に乗せたという感じの経営書ですね。

モジュール化から導かれるオプションというかデリバティブといった経済的効果について考える感じは、まあもっともだと思います。
結構面白かったです。本が厚いけど。しかも後編があるそうだけど。
比較優位だ水平分業だっていうとインターナショナルなスタンダードで重工業軽工業農業で科学的な国際分業って昔誰か言っていたような気もするけど。

TRONプロジェクト自体、プロジェクト全体がモジュール化されているのは、IBMシステム360のファミリー構想や、モジュラー構造を大いに参考にしたうえのことで、この本の内容程度のことは20年以上前から当然織込み済み。

なんたって、坂村先生は武者修行の頃にIBMシステム360のチーフ・アーキテクトであったジーン・アムダールにも面会してるわけだし。

「交渉人 真下正義」が「踊る大捜査線シリーズ」のデリバティブであるのと同様、T-EngineでもマイクロチップやOSを中心として、JavaやLinuxやWindowsCEをITRONというかT-Kernelのミドルウェアというオプションとして、開発の選択肢(オプション)を持たせてデリバティブを広げている。

ま、今までみたいに、ITRONの水平的展開から、T-Engineの垂直展開というのは一つの賭けという部分もあるが、シングル・ワン・ソースという成り行きはある意味必然の部分もあるので、今後の展開を見守るしかないといったところか。

5円のRFID100万個作っても500万円にしかならないから、そのRFIDを活用した上位アプリケーションで儲けないと意味ないってのはそのとおりですな。大変だけど。

えーと、パソコンが未完成でベストエフォートの見本かというと、アレはテッキーのホビーがビジネス「でも」役立ちそうだってんで、なんかの間違いでのし上がってきただけのような気がしますけどね。そういえばホビイストに質問状を出した人もいたっけね。

「動かないコンピュータ」は真っ平御免なエンドユーザのワタクシ。

ということでひとつ。

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